Google採用広告

目次

|概要

  • 日時:2004年7月〜
  • 主体:Google
  • 施策:
    • シリコンバレーの中心を走るハイウェー101沿いのビルボードに広告を掲載
    • Google検索をしなくてはわからないような複雑な数学の問題を表示
    • Google検索をしなくても答えがわかるような数学に関心がある人々の注目を集める

|いい仕組みポイント

1. 数学に関心がある人のツボを抑えている


一般の人からみると何のことだか分からず、気にも留めない広告表現になっているが、Googleが採用したい「数学に対する教養や知的好奇心がある人」にとっては、ワクワクする表現になっている。こうして問題を表示されると解かずにはいられなくなるからだ。OOHという広く大衆に知らしめる広告のなかでも、これだけピンポイントに深くコミュニケーションを投げかける好事例はあまりないだろう。

2. その後のプロセスにも遊び心がある


この広告には、「{eの値中の、最初の連続する10桁の素数}.com」と書かれており、答えのURLにアクセスすると、さらに別の問題が用意されている。この別の問題を通じて、ようやくGoogle の研究開発部門「Google Labs」のページに辿り着く構造になっている。

そこには、「Googleの構築を通して我々が学んだことの1つに、自分が何かを探しているとき、向こうも自分を探している場合のほうが見つかりやすいということがある。我々が探しているのは、世界最高のエンジニアであり、あなたこそその人なのだ」というメッセージが表示されているそうだ。

この一連のプロセスを通じて、Googleという企業ブランドを体験させていることが肝のように感じる。単なる求人募集ではないかこそ、応募時点でより企業に対するコミットメントがあがるのではないだろうか。プロセスやストーリーを通じて、ある種の共犯関係が作れていることに価値があるのかもしれない。

|効果メモ

  • 広告クリエーティブの世界では非常に有名な事例として評価されている。
  • 一方、実はこの広告で採用した社員はひとりもいない。Googleの人事責任者であったラズロ・ボック氏は、著書「ワーク・ルールズ!」のなかで次のように言及している。

私たちは突拍子もないことを試してみた。2004年、マサチューセッツ州ケンブリッジに、またカリフォルニア州の101フリーウェイから少し離れたところに、不可解なパズルを掲載した広告板を設置したのだ。 (中略) 結果はどうなっただろうか?私たちはひとりも採用しなかった。広告板はメディアで盛んに取り上げられたものの、**資源の無駄遣いになっただけだった。**人材募集チームは洪水のような履歴書と問い合わせに対応しなければならなかったからだ。訪問者の大半は2つのパズルを解いていなかった。

  • 良い広告クリエーティブが、本来の目的を100%達成するかは別の話だということが分かる。

|参考

グーグル、謎の人材募集広告–シリコンバレーのビルボードに

–世界のユニークな採用試験を紹介する「面接の研究所」–

Googleの有名な数式を使った人材募集の看板広告で採用された社員は0人だった|nao | UXライター / コピーライター|note

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