目次
|概要
- 日時:2018年10月
- 主体:大阪大学医学部付属病院
- 施策:
- インフルエンザシーズン前に来訪者に手指衛生を行っていただくことを目的とした施策。
- 仕掛学の第一人者である大阪大学大学院経済学研究科・松村真宏教授とコラボ。
- 病院入口に真実の口を設置。手を入れると、アルコール手指衛生剤が自動的に出てくる。
|いい仕組みポイント
1. 思わず手を入れてみたくなる心理
こんなものが病院の入口にあったら嫌でも目立つ。なんだろうと興味がわいたところに、真実の口という有名な作品だと気づく。有名な作品だからこそ「ここに手を入れる」ということは一瞬で想起できる。本物の真実の口に手を入れたことがある人はそこまでいない。だからこそ「てを入れてみたい」という心理が自動的に働く。これは自然に手が伸びる。病院環境のなかに異質な存在である「真実の口」が、アイキャッチからアクションまでを誘導するちょうど良い存在である、というアイデアには脱帽。
2. 持続的な行動変容につながる
持続性のある行動変容は同じ行動を繰り返すことで習慣として定着するが,行動を変えることを嫌う現状維持バイアスのせいで初めて行動を変えるときのハードルが大きい。そこで仕掛けによって行動変容の最初のハードルを超え,その後も定期的に行動変容を起こすことが持続性のある行動変容には必要な要件となる。そのときに,日々の生活の動線上に行動変容のきっかけ(トリガー)を置くことが日々の行動変容を促し習慣化へと繋げる上で重要になる。
|効果メモ
- 来訪者の声
「真実の口なので手を入れてみようと思いました」「消毒は必要だと分かっていてもなかなかしないので、おもしろい取り組みだと思います」と話され、大人も子どもも恐る恐る手を入れたり、何度も笑顔で消毒したりする姿が見られました。
- 実際の成果
- 手指消毒を行った来訪者の割合
- 従来の手動ポンプ式の手指消毒器:0.6% (38/5981)
- 真実の口型手指消毒器:10.3% (2135/20766)
- 真実の口を撤去後(介入後)の利用率は 2.80% (123/4257)
- ref:研究論文
- 手指消毒を行った来訪者の割合